つみたてNISA(積立NISA)は、最長20年間にわたって運用益を非課税にできる節税効果のある制度。
運用を始めるにはNISA口座を開設することになりますが、そこで「銀行」がいいのか「証券会社」がいいのか迷う方は多いかと思います。
NISA口座は「1人1口座まで」しか開設できないので、どこで始めるべきか金融機関選びで悩むところですよね。
この結論を言ってしまうと、銀行よりも証券会社で口座開設した方が、つみたてNISAの使い勝手が良くて運用管理にも優れています。
特にネット証券の「楽天証券」や「SBI証券」は、他社よりも優れている面がありますね。
そこで今回は、つみたてNISAの銀行口座で運用をおすすめしない理由と、証券会社との違いを比較しておすすめ口座もご紹介します。
【金融庁厳選】つみたてNISA(積立NISA)の対象商品
つみたてNISAで運用できる投資信託の対象商品は、金融庁が長期・積立・分散投資に適した162本に厳選されています。
投資信託は全体で5,000以上の商品数が存在しますが、その中から低コストのものに限定されているので、投資初心者でも選びやすい仕組みになっています。
金融庁の厳しい条件をクリアした投資信託なので、つみたてNISAはどの商品を選んでも比較的失敗するリスクが低いと言えますね。
非課税で運用できる期間は2018年~2037年(20年間)と長いので、つみたてNISAは運用利益に加えて長期的に節税できるのが魅力です。
ただ、投資枠を翌年に移す「ロールオーバー」はできないので、投資信託が購入できるのは2037年まで。
つみたてNISAの年間投資枠は40万円ですから、1年投資を始めるのが遅くなるごとに非課税の効果が薄れてしまう面があります。
なので、投資を始めるなら早いに越したことはありません。
つみたてNISAは運用益に税金がかからないので、確定申告を行う必要もありませんし、面倒な手続きなどを考えずに資産運用ができます。
つみたてNISAの手数料は銀行・証券会社ともに違いはない
投資信託には「購入手数料」がかかる商品もありますが、つみたてNISAの対象商品は「ノーロード(無料)」に限定されています。
これは銀行でも証券会社でも条件は同じです。
NISA口座開設だけでお金が取られるんじゃ…と気にしている方もいますよね。
ですが、NISA口座は無料で作ることができるので安心して下さい。
ちなみに口座開設時にお金がかかるのは、個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」になります。
イデコは加入時または移換時に2,777円が必要なので、つみたてNISAと異なる点ですね。
つみたてNISAでかかる手数料は「信託報酬」
つみたてNISAで気にするべき手数料は、投資信託を保有している間に支払う「信託報酬」です。
この信託報酬は運用・管理するために必要な手数料ですが、投資信託を購入してからずっと支払うコストになります。
つみたてNISAで扱っている「インデックス投信」は年率0.5%以下の商品が多く、「アクティブ投信」は年率1%程度ですね。
対象商品のほとんどは信託報酬の安いインデックス投信になるので、つみたてNISAは運用コストを抑えて積立できる特徴があります。
インデックス投信の中には、年率0.1~0.2%程度で済む商品も扱っています。
つみたてNISA(積立NISA)は銀行をおすすめしない理由
ここからは、銀行のつみたてNISAをおすすめしない理由を解説していきます。
- 選べる投資信託の商品数が少ない
- 最低積立金額が1万円~になる銀行もある
- 積立頻度は「毎月」しかない場合が多い
- ポイントサービスの優遇に期待できない
- 株式取引には対応していない
これは銀行で運用するデメリットとも言えますが、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
理由①:選べる投資信託の商品数が少ない
つみたてNISAの対象商品は、2018年時点で金融庁が厳選した162本。
ですが、そのすべての投資信託が購入できるわけではなく、金融機関によって商品数が違ってきます。
そこで、主な銀行のつみたてNISAの商品数を見比べてみました。
銀行名 | 取り扱い商品数 |
ジャパンネット銀行 | 26本 |
イオン銀行 | 20本 |
スルガ銀行 | 18本 |
三菱UFJ銀行 | 12本 |
ゆうちょ銀行 | 8本 |
りそな銀行 | 4本 |
みずほ銀行 | 3本 |
このようにネット銀行はそこそこ取り扱いがありますが、都市銀行の「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」などは本数がかなり少ない状況ですね…
これがネット証券の「楽天証券」や「SBI証券」なら、150本ほどの商品ラインナップがあります。
取り扱いが少ないと選択肢が狭くなってしまうので、自分のスタイルに合わせた積立投資ができない可能性が高くなります。
理由②:最低積立金額が1万円~になる銀行もある
つみたてNISAの年間投資枠は40万円までなので、1月~12月までの1年間フルで積立するなら、毎月33,333円が上限額になります。
満額で積立する必要はありませんが、金融機関ごとに指定されている「最低積立金額」は大きく異なる場合があります。
先ほどの銀行でいくらに設定されているかを見比べてみます。
銀行名 | 最低積立金額 |
ジャパンネット銀行 | 500円~1円単位 |
イオン銀行 | 1,000円~1,000円単位 |
スルガ銀行 | 1万円~1,000円単位 |
三菱UFJ銀行 | 1万円~1円単位※ |
ゆうちょ銀行 | 1,000円~1,000円単位 |
りそな銀行 | 1万円~1円単位※ |
みずほ銀行 | 1,000円~1,000円単位 |
※ネット申込の場合は最低1,000円~になります。
銀行では毎月1,000円から積立できることが多いですが、基本は1,000円単位なので細かく刻んだ積立はできません。
また、店頭で直接つみたてNISAの申し込みを行うと、毎月1万円からしか積立できない場合も…
この最低積立金額は「投資信託1本」に対してなので、積立する商品が2本・3本と増えると、毎月の積立額もその分大きくなります。
例えば最低1万円からの銀行だと、たった3本の投資信託を積立するだけでも、つみたてNISAの毎月の上限額に達することに。
こうなると積立できる商品が必然的に限定されますし、投資額がどうしても大きくなりがちですよね。
最低積立金額が低ければ低いほど、少額で複数ファンドへ分散投資できるメリットがあります。
ちなみに、ネット証券なら「100円~1円単位」でも積立可能です。
理由③:積立頻度は「毎月」しかない場合が多い
つみたてNISAでは「毎日」「毎週」「毎月」「隔月」など、積立頻度を変えて運用することができます。
これは投資信託の運用リスクを減らす「分散投資」の方法の1つです。
- ファンド(商品)の分散:株式・債券など
- 地域・通貨の分散:日本・アメリカなど
- 時間(時期)の分散:毎日・毎週など
この時間の分散投資は積立頻度が狭くなるほど、積立回数が多くなるほど効果は高くなります。
投資信託はすべて同じ値動きをするわけではなく、商品の性質に応じて違った変動をするので、一括で積立してしまうとそれだけリスクも高くなることに…
このリスクを回避するためには、できる限り「少額かつ定期」で積立を続けることが必要になりますね。
ですが、銀行のつみたてNISAは「毎月」しか選べないことがほとんど。
ネット証券の「楽天証券」や「SBI証券」では、「毎日」の積立頻度で運用することが可能です。
一度積立注文を設定すれば、あとは自動的に買い付けを行ってくれます。
理由④:ポイントサービスの優遇に期待できない
選ぶ金融機関によっては投資信託の「平均保有残高」に応じてポイントが貰える場合もあります。
こうしたポイント付与の優遇が受けられると、つみたてNISAの実質的な運用コストを減らすこともできるんです。
年率0.5~1%程度の信託報酬に対して、毎月ポイントを獲得できれば手数料と相殺して安くできますよね。
特につみたてNISAは最長20年にわたっての長期投資。
運用コストの差は、のちのち利益率に大きく影響してきます。
だからこそ、ポイントサービスの有り無しはとても重要なことです。
ネット銀行ならまだポイント制度があったりしますが、都市銀行・地方銀行などはあまり期待できません。
ポイントの優遇率が群を抜いて高いのは、ネット証券の「楽天証券」になりますね。
他にも「口座開設キャンペーン」などが開催される金融機関もあるので、少しでもお得に始めたい方はチェックしておくのがおすすめです。
理由⑤:株式取引には対応していない
銀行ではごく限られた投資信託しか扱っていません。
もし、つみたてNISA以外に株式投資を始めたいと思っても、銀行ではなく証券会社の口座を開設することになります。
今は特に考えていなくても、将来的には投資信託だけでなく株取引も利用する可能性はありますよね。
とういったときには、投資信託も株式も扱っている証券会社が便利です。
国内株式だけでなく、海外株式・海外ETFなどにも投資できます。
これは銀行にはない証券会社の魅力でもありますね。
つみたてNISA(積立NISA)を証券会社でサービス比較
ここまで銀行のつみたてNISAはおすすめできない理由を解説してきました。
そこで証券会社が選択肢になりますが、本当におすすめできるところは限られてきます。
証券会社選びで迷うことも多いので、ここからは以下のサービス内容を比較して見ていこうと思います。
- 選べる投資信託の商品数
- 設定できる最低積立金額
- 積立頻度の選択肢
それではさっそく証券会社で比較していきますね。
比較①:選べる投資信託の商品数を比較
証券会社 | 取り扱い商品数 |
楽天証券 | 150 |
SBI証券 | 150 |
松井証券 | 146 |
マネックス証券 | 145 |
カブドットコム証券 | 141 |
髙木証券 | 46 |
フィデリティ証券 | 36 |
エイチ・エス証券 | 19 |
※2018年12月27日時点の商品数になります。
銀行と比べて証券会社は、つみたてNISAの商品ラインナップが多いことがわかります。
特にネット証券の上位5社は、140本以上と他社を圧倒していますね。
ファンドの分散投資から考えると、証券会社の選択肢は限られてきます。
比較②:設定できる最低積立金額で比較
証券会社 | 最低積立金額 |
楽天証券 | 100円~1円単位 |
SBI証券 | 100円~1円単位 |
松井証券 | 100円~1円単位 |
マネックス証券 | 100円~1円単位※1 |
カブドットコム証券 | 500円~1円単位 |
髙木証券 | 1,000円~1,000円単位※2 |
フィデリティ証券 | 1,000円~1,000円単位 |
エイチ・エス証券 | 1万円~1円単位 |
※1:銀行口座振替の積立は1,000円~になります。
※2:月間最低購入額は1万円~になります。
最低積立金額では、先ほどのネット証券上位5社が安くなっていますね。
カブドットコム証券を除けば、毎月100円から投資信託を積立することができます。
1ファンドあたり100円なので、複数購入を考えている方は低資金で投資できるのが魅力です。
比較③:積立頻度の選択肢で比較
証券会社 | 積立頻度 |
楽天証券 | 毎日・毎月 |
SBI証券 | 毎日・毎週・毎月 |
松井証券 | 毎日・毎週・毎月 |
マネックス証券 | 毎月 |
カブドットコム証券 | 毎月 |
時間の分散投資が最も効果的なのは「毎日」の積立頻度になります。
つみたてNISAで毎日積立が設定できるのは、「楽天証券」「SBI証券」「松井証券」の3社のみ。
1年間を通して毎月33,333円が積立上限なので、1日に積立できる金額は31日で計算すると約1,075円。
投資信託は「価格変動リスク」があるので、少額から毎日積立を行うことでリスク低減を図ることが可能です。
つみたてNISA(積立NISA)におすすめな証券会社
つみたてNISAは銀行よりも証券会社の方がおすすめです。
ですが証券会社で比較してみると、使い勝手が優れているのは「楽天証券」「SBI証券」「松井証券」の3社に絞られます。
そこで以上の点を踏まえて、ここからは3社のネット証券の特徴やメリットも解説しておきますね。
おすすめ①:楽天証券のつみたてNISA
取扱商品数 | 150本 |
最低積立金額 | 100円~1円単位 |
設定できる積立頻度 | 毎日・毎月 |
「楽天証券」のつみたてNISAは、商品ラインナップが業界トップクラスの150本。
金融庁が認可している大半の対象商品が購入できます。
100円からの少額積立ができることに加えて、時間分散投資に効果的な「毎日積立」も設定可能。
そして楽天証券の強みは、「ポイント投資」と「楽天カード積立」ができることです。
楽天スーパーポイントを使って投資信託を購入することができ、つみたてNISAでも「ポイント積立」に対応。
また、「楽天カード」のクレジット決済を利用して積立すると、金額に応じてポイント1%還元が受けられます。
100円につき1ポイント付与なので、つみたてNISAで毎月33,333円の積立だと月333ポイントが貰えますね。
さらに、「楽天銀行」と楽天証券の「マネーブリッジ」設定、「ハッピープログラム」にエントリーで投資信託の保有残高10万円ごとに毎月4ポイント付与。
貯まった楽天ポイントは投資信託の購入に回せますから、楽天証券なら積立が効率的に行えます。
楽天ユーザーでなくてもポイントを無駄なく消化できるので、個人的にはネット証券の中で一番おすすめできます。
▼ポイント投資&カード積立が魅力▼
おすすめ②:SBI証券のつみたてNISA
取扱商品数 | 150本 |
最低積立金額 | 100円~1円単位 |
設定できる積立頻度 | 毎日・毎週・毎月 |
「SBI証券」のつみたてNISAは、楽天証券と同様に商品数がトップクラスで、積立も100円から1円単位で設定できます。
楽天証券と大きく異なるのは、積立頻度のバリエーションが豊富にあること。
SBI証券なら「毎日」を含む3種類の選択肢があるので、自分のスタイルに合わせて自由に積立することが可能です。
また、SBI証券には「NISA枠ぎりぎり注文」という便利なサービスがあります。
従来の積立設定では、設定金額がNISA投資可能枠を超えると注文ができませんでしたが、残りに応じて自動で注文金額を調整するサービスです。
これにより、積立設定金額を微調整することなく、NISA投資可能枠を残さず使いきることができます。
つみたてNISAの「年間非課税枠」をしっかり使い切ることができるので、使い勝手の良いサービスですね。
SBI証券では楽天証券ほどのポイント優遇はありませんが、投資信託の平均保有残高に応じて「年率0.1%」か「年率0.2%」のポイントが貯まります。
残高に関係なく「年率0.03%」か「年率0.05%」のポイント付与もあります。
付与率は低いですが、運用コストの低減には繋がりますね。
SBI証券には「カートつみたて」という、つみたてNISA専用画面も用意されているので、誰でも使いやすく設計されています。
▼積立頻度のバリエーションが豊富▼
おすすめ③:松井証券のつみたてNISA
取扱商品数 | 146本 |
最低積立金額 | 100円~1円単位 |
設定できる積立頻度 | 毎日・毎週・毎月 |
「松井証券」のつみたてNISAは、先にご紹介した2社に劣らない商品数があり、100円からの少額積立もできます。
選べる積立頻度も3種類と充実しているので、時間分散投資も問題ありません。
松井証券は今まで銀行口座振替ができないことがデメリットでしたが、2018年10月13日から始まった「定期自動入金」サービスによって解消されています。
毎月1回、銀行口座から証券口座へ「自動引き落とし」できるサービスです。
毎月27日に引き落としされ、証券口座へ5営業日後に反映される仕組みになっています。
1万円~1円単位、振替時の手数料は無料。
これによって、松井証券の口座へ入金する手間を省くことができますね。
また、松井証券では投資信託の平均保有残高に応じて「年率0.1%」のポイントが貯まります。
これはSBI証券にもあるポイントサービスですが、貯まったポイントは以下の銘柄に限り「ポイント投資」できます。
- ひふみプラス
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
ポイントの使い道は他にも、Amazonギフト券や各種商品に交換することも可能。
松井証券では、投資に役立つアドバイスサービス「投信工房」もあり、資産管理のサポート体制にも強みがある証券会社です。
▼ポイント投資&サポート充実▼
楽天証券は「NISA即日買付制度」対応で取引開始が早い
楽天証券では2019年1月から「即日買付制度」がスタートしています。
この制度を利用することによって、NISA口座の開設申し込みから取引開始までの期間が短縮されます。
これから楽天証券の「総合口座」と「NISA口座」を同時開設される場合は、通常約20日以上かかっていたのが約6日で取引開始が可能に。
NISA口座開設には「税務署の審査」を受けることになるので、審査完了までに約1~2週間ほどの時間を要します。
審査が遅れると申し込みから1ヶ月以上待つ場合もあります。
NISA口座は時間がかかるデメリットがありましたが、「即日買付制度」によって税務署の審査結果を待つことなく、スピーディーに取引を始められますね。
すでに楽天証券の総合口座をお持ちなら、「最短当日」でつみたてNISAを開始できます。
早く取引ができることはありがたいですね。
まとめ:つみたてNISAは銀行ではなく証券会社で始めよう
- 取り扱い商品数が圧倒的に多い
- 毎月100円~1円単位で積立できる
- 毎日積立で時間分散投資ができる
- ポイント優遇で運用コストを低減可能
- 株式投資も利用できる
つみたてNISAは銀行・証券会社で始めることができます。
ですが、それぞれの金融機関の特徴を比較してみると、銀行で始めることはおすすめできません。
つみたてNISAは比較的ローリスクで運用できる方法ですが、その効果を最大限に生かすためには「ネット証券」が最適と言えますね。
ネット証券の中でも、特におすすめなのが「楽天証券」「SBI証券」「松井証券」の3社。
どこも豊富な商品ラインナップで、最低積立金額は100円~1円単位ですし、設定できる積立頻度には大きな違いはありません。
個人的にはポイントサービスの優遇率が群を抜いている「楽天証券」が強いイメージですね。
金融機関選びを間違えると、翌年になるまではNISA口座の金融機関変更はできません。
変更手続きも手間になるので、自分のライフスタイルに合わせたネット証券を選ぶようにしましょう!
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