株式・投信などの投資において、利益を得るためにはある程度のリスクを取ることが必要になります。
そこでリスクを抑えつつ、リターンの最大化を図れる手法が「コア・サテライト戦略」です。
コア・サテライトは投資初心者の方だと、あまり聞き慣れない言葉じゃないかと思います。
一般的な「分散投資」にも似ていますが、コア・サテライトで運用する方がメリットになる場合もありますね。
そこで今回は、投信のコア・サテライト戦略についてのメリット・デメリット、どのように運用するのかをわかりやすく解説していきます。
【コア・サテライト戦略の要点まとめ】
- 低コストな分散投資でリスク低減=コア
- リスクを取ってリターンの最大化=サテライト
- 「守り」と「攻め」を両立した安定&積極投資
- 個々に合わせたリスク許容度で運用できる
そもそもコア・サテライト戦略とは?
まずはコア・サテライト戦略について簡単に説明していきます。
そもそもコア・サテライトとは、ポートフォリオ(資産の組み合わせ)の中核を担う「コア資産」と、積極的な投資を行う「サテライト資産」で構成されます。
この「コア」と「サテライト」を上手く組み合わせることで、投資効率を高めていく運用法になりますね。
「コア」資産と役割について
コア・サテライト戦略における「コア」とは、リスクを最小限に抑えて安定した運用を行うことを目的としています。
短期的なハイリターンを狙うわけではなく、中長期で継続的に利益を積み重ねていく運用スタイルです。
まずは地盤を固める「守りの投資」ですね。
コア資産は、株式・リート(不動産)・債券など、さまざまな資産にバランスよく分散投資することが一般的です。
バランスよく分散投資をする場合、日経平均株価やNYダウ平均株価と連動する値動きを目指す「インデックスファンド」が低コストなため用いられることが多いです。
コアに組み込む資産は、「中長期」「低コスト」「分散投資」を意識することが重要になりますね。
- 価格変動の影響が少なく中長期向き
- 運用・管理にかかる手数料が低コスト
- 資産に偏りがなく分散できるバランス型
「サテライト」資産と役割について
コア・サテライト戦略における「サテライト」とは、リスクを抑えるよりも高いリターンを目指して積極的に運用することが目的です。
コアは中長期で安定した運用ですが、サテライトは短期的な利益を追求した運用スタイルになります。
こちらは特定分野に集中した「攻めの投資」ですね。
サテライト資産は、地域が限定的な海外株式・リート(不動産)などが向いています。
また、日経平均株価等の値動きを上回る運用成果を目指す「アクティブファンド」も、成績次第では高いリターンを期待できるため、適しています。
サテライトに組み込む資産は、「短期」「ハイリターン」「集中投資」を意識した運用になりますね。
- 短期的に価格変動が大きい
- 地域・分野に特化した特定資産
- 収益・成長率に期待できる資産
コア・サテライトで資産運用するイメージ
コア資産では分散投資を行うことで価格変動に対する影響を最小限に抑え、比較的安定した値動きで運用することが狙いです。
長期保有による「利益の積み上げ」がコア部分の主な役割と言えますね。
対してサテライト資産は高リスクの資産に集中投資を行うことで、大きな値動きが起こりやすい積極的な運用をします。
状況次第では短期売買も視野に入れた「利益の上乗せ」がサテライト部分の主な役割ですね。
投信をコア・サテライト戦略で運用するメリット
ここからは、投信をコア・サテライトで運用するメリットを解説していきます。
- 分散投資とリターンを両立できる
- 「攻め」と「守り」に切り分けて運用できる
それぞれ見ていきましょう。
メリット①:分散投資とリターンを両立できる
投資する上では必ずリスクを負うことになるため、1つの資産に集中させてしまうと値下がり時に大きな影響を受けてしまう可能性があります。
なので、分散的に投資することで「リスク低減」を図ることが必須になりますね。
ただ、分散することばかり考えていては、肝心なリターンが下がってしまう場合もあります。
そこで一部の資産はリスクを取りつつリターンを積極的に狙っていくことで、全体的にバランスの良い運用を行うのがベター。
コア・サテライト戦略では、コア資産で分散投資を行い、サテライト資産でリターンを伸ばすことができます。
コア・サテライト戦略であれば、どちらも効率よく両立できるのが魅力と言えます。
メリット②:「攻め」と「守り」に切り分けて運用できる
コア・サテライトでの運用は、「コア=守り」と「サテライト=攻め」で運用目的が明確になっています。
資産運用を行う場合は、将来的にどう資産形成するかが重要でもあるため、運用スタイルはある程度決めておく必要がありますね。
その点で言えば、コア・サテライト戦略は目的がはっきりしています。
また、コアとサテライトは切り分けて考えることができるので、自分のスタイルに合わせた運用も可能ですよ。
例えば、初めはリスクを意識してコア資産のみで運用しつつ、慣れてきた段階でサテライト資産も加える、という運用ができますね。
「攻め」と「守り」が切り分けできると、投資判断や考えもまとまりやすいかと思います。
投信をコア・サテライト戦略で運用するデメリット
投信のコア・サテライト戦略はメリットだけでなく、以下のデメリットも理解しておく必要があります。
- ポートフォリオの管理に手間がかかる
- リスク配分に注意する必要がある
こちらもそれぞれ解説していきますね。
デメリット①:ポートフォリオの管理に手間がかかる
コア・サテライトで運用する場合、複数資産に分散することになるのでポートフォリオ(資産の組み合わせ)の管理が手間ですね…
運用が中長期になると、定期的な「リバランス」を行うことが必須になってきます。
ポートフォリオ運用において、時間の経過とともに変わった資産配分を当初の配分に戻すことを意味します。
このリバランスを定期的に行うことで、中長期になる運用でも最適なポートフォリオを維持することが可能になります。
リバランスの他にも、運用状況に応じて「資産の組み換え」が必要になる場合もありますね。
コア・サテライト戦略は有効的な投資手法ではありますが、それだけ管理にも手間がかかることを理解しておきましょう。
後述しますが、松井証券のロボアドバイザー「投信工房」を利用すると、自動リバランス機能によって手間を省くことが可能です。
ポートフォリオ運用でも手軽に管理できるようになるため、コア・サテライト戦略とも相性が良いです。
デメリット②:リスク配分に注意する必要がある
投資リスクが特に高くなるサテライト資産は、市場変化に影響を受けやすいのでリスクの取り過ぎには注意が必要ですね。
高いリターンは魅力的ですが、値下がり時の「損失リスク」に耐えられないと運用を続けることが困難になってしまう可能性があります。
そのため、自分自身が問題ないと判断できる「リスク許容度」を設定しておくのがいいかと思います。
できるだけリスクを避けるなら、コア資産の配分を高めてサテライト資産の配分は最小限に留めておくべきですね。
コア資産は損失リスクを抑えて、安定的な運用を目指すことができます。
コア・サテライト戦略はリターンにも期待できますが、無理のない範囲でリスクを取りにいくようにしましょう。
コア・サテライト戦略と分散投資の違いは?
コア・サテライト戦略では分散投資できることがメリットの1つです。
ですが、一般的に知られている分散投資との違いはあるのか…ということが気になっている方もいますよね。
そこでそれぞれの特徴を簡単に見比べてみました。
【一般的な分散投資】
- 低コストを考慮したポートフォリオ
- 価格変動の影響を受けにくい安定的な運用
- 投資先を分散することによるリスク低減
【コア・サテライト戦略】
- 「コア資産」で低コスト・低リスクな分散投資
- 「サテライト資産」でリターンの最大化
- コア&サテライトで「守り・攻め」を切り分け
一般的な分散投資では、コア・サテライト戦略の「コア資産」の部分にあたる運用を行うことが主な目的になります。
対してコア・サテライト戦略では、リスク低減を考慮した運用を行いつつ、リターンも伸ばすことが可能になります。
分散投資と積極投資の合わせ技のようなイメージですね。
人それぞれの運用目的や投資スタイル、リスク配分などを自由に制御できるので、自分に合ったポートフォリオを組みやすい特徴もあります。
分散投資をより実践的に運用していきたい…高いリターンも狙っていきたい…という方は、コア・サテライト戦略での運用がおすすめできますね。
コア・サテライト戦略に最適なポートフォリオは?
コア・サテライト戦略では、一般的に「コア資産8割」「サテライト資産2割」がバランスの取れたポートフォリオと言われています。
もちろん、よりリスクを抑えて運用するならコア資産の割合を増やし、リターンを重視するならサテライト資産の割合を増やすことで調整できます。
投信でポートフォリオを組む場合は、投資対象である金融資産のリスク・リターンの違いも理解しておきましょう。
投資対象の資産別リスク・リターンの関係図
※投資対象ごとのリスクとリターンの一般的なイメージであり、実際の運用結果とは異なる場合があります。また、将来の運用成果等を保証するものではありません。
- ハイリスク・ハイリターン:海外株式・国内株式
- ミドルリスク・ミドルリターン:海外リート・国内リート
- ローリスク・ローリターン:海外債券・国内債券
基本的には「債券 < リート < 株式」の順にリスク・リターンが大きくなっていきます。
なお、バランス型ファンドは株式・債券などの複数資産にまとめて分散投資できるため、1つの投資でリスク低減を図ることができます。
コア資産はバランス型や債券を中心に、サテライト資産は株式やリートを中心に運用するのが良さそうですね。
インデックスファンド・アクティブファンドの実績も要チェック
基本的にはコア資産はインデックスファンド、サテライト資産はアクティブファンドで運用することになります。
ですが、場合によってはインデックスファンドの方が成績がいいときもあります。
アクティブファンドは浮き沈みが激しいため、運用実績を必ずチェックしておくことをおすすめします。
ここでは一例として、国内株式のアクティブ・インデックスファンドで過去の実績を比較してみます。
ファンド | ひふみプラス (アクティブ) | ニッセイ日経225 (インデックス) |
投資対象 | 国内株式 | 国内株式 |
2018年 | -21.23% | -10.49% |
2017年 | 44.79% | 20.96% |
2016年 | 4.62% | 2.09% |
2015年 | 21.88% | 10.51% |
※年別のトータルリターンになります。おカネの育成小屋調べ。
ひふみプラスは投資家からの人気があるアクティブファンドですが、良いときと悪いときの差が大きいことがわかりますね。
特に2018年はニッセイ日経225と比べて2倍ほどのマイナスです。
できるだけ安定的なリターンを重視するなら、サテライト資産でもインデックスファンドを扱うことを検討していきましょう。
コア・サテライト戦略の運用は「投信工房」がおすすめ
「投信工房」とは、松井証券が投資信託サービスの一環として提供しているロボアドバイザーになります。
投資初心者でも安心して運用を始めることができるよう、ポートフォリオ提案や資産見直しなどをトータルサポートしてくれます。
投信工房はいわゆる「アドバイス型」のロボアドバイザーサービスですね。
なお、投信工房の利用料は無料なので余計な費用はかかりません。
手軽にポートフォリオ運用+個別の投信を併用できる
投信工房は8つの簡単な質問に答えるだけで、それぞれ個人に合わせた最適ポートフォリオを提案してくれます。
そのため、分散投資を行う上で迷いがちなファンド選びも手軽に行うことが可能です。
コア資産のポートフォリオ運用にはうってつけですね。
また、投信工房では設定された「目標ポートフォリオ」に沿って運用できますが、同じ投資信託口座内で、ポートフォリオ運用とは別に個別の投信を分けて運用することもできます。
例えば、コア資産はポートフォリオ運用で安定した中長期投資を行いつつ、サテライト資産は個別の投信で短期リターンを目指せます。
コア・サテライト戦略の運用がしやすいので便利ですね。
自動リバランス機能にも対応している
コア・サテライト戦略では、分散投資によるコア資産のポートフォリオ管理が手間になるデメリットがありました。
ですが、投信工房を利用すれば設定した日に「自動リバランス」してくれます。
これによって、運用を開始したあとに必要だった定期メンテナンスの手間を省くことができます。
自力でポートフォリオを調整し直す作業は大変ですから、自動リバランス機能が使えるのはとてもありがたいところ。
ちなみにアドバイス型のロボアドバイザーは投信工房以外にもありますが、基本的に自動リバランス機能はどこも提供されていません。
自分でポートフォリオを決められない…リバランスの手間を省きたい…という方は、投信工房の利用も検討してみて下さいね。
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松井証券は人気の投信「eMAXIS slim」シリーズも取り扱いあり
eMAXIS Slimシリーズは、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」でも受賞している人気ファンドです。
選ばれている最大の理由としては、とにかく「信託報酬」が業界最低水準であることですね。
投資信託を保有している間は、運用・管理費として投資家がずっと支払い続ける手数料のことです。
信託報酬は投信によって異なりますが、基本的には「年率1%前後」がかかります。
eMAXIS Slimシリーズは、どの投信も「年率0.15%」ほどの信託報酬ですから、中長期の運用にも最適です。
松井証券では2019年8月現在で、株式・債券・バランス型など計11本の取り扱いがあります。
投信は保有しているだけでコストが発生するため、低コストな運用ができるeMAXIS Slimシリーズはおすすめですね。
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投信をコア・サテライト戦略で運用するメリット・デメリットまとめ
- 低コストな分散投資でリスク低減=コア
- リスクを取ってリターンの最大化=サテライト
- 「守り」と「攻め」を両立した安定&積極投資
- 個々に合わせたリスク許容度で運用できる
ここではコア・サテライト戦略のメリット・デメリットを解説しましたが、一般的な分散投資よりもリターンを伸ばせる可能性があります。
ただ、投資において許容以上のリスクを取る必要はありません。
まずは安定的な運用を中心に始めていき、余裕がでてきたら積極的な投資も組み込んでいくのがいいかと思います。
また、コア資産にあたるポートフォリオ運用は複数資産に分散するので、どの投信で運用するか迷ってしまうことも多いです。
特に投資初心者だとランキングなどに頼りがちになってしまうため、自分に合った資産バランスかどうか判断できません。
なので「投信工房」のようなアドバイス型ロボアドバイザーを活用して、ポートフォリオ提案の無料診断を受けてみるのがいいですね。
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