株式投資の中にはIPO(新規公開株)というものがあり、抽選に当選すれば高確率で利益が得られる投資先として知られています。
資産運用を始めたばかりの投資初心者の方は、IPOという言葉はあまり聞き慣れないかもしれません。
IPOの大きなメリットとしては、公募価格(上場前の株価)で購入してから、上場後の「初値」で売却することで大きな利益を出せることですね。
投資初心者でも、IPOの抽選に当選したら「高確率かつ簡単」に利益が得られますが、株式投資である以上はデメリットも存在します。
そこで今回は、IPOの特徴やメリット・デメリットをできるだけわかりやすく解説していきます。
そもそもIPO(新規公開株)とは?
IPOとは「Initial Public Offering」を略称したものです。
IPOは新規公開株という、未上場企業が証券市場へ上場することが決まっている株のことを意味しています。
初めて証券市場へ上場するIPO株は、高確率で利益が出せることから人気があり、抽選によって購入者が決められる仕組みになっています。
この抽選に参加するには、IPOを取り扱っている証券会社の口座を持っておく必要があります。
抽選に当選した方は、上場前の「公募価格」で購入することができ、上場後はいつでも売却することが可能。
一般的な株式とは違って、上場が決まっている新規株式を事前購入できるのがIPOの特徴と言えますね。
IPO(新規公開株)のメリット
ここからは、IPOのメリットについて解説していきます。
- 当選すると高確率で利益が出せる
- 落選しても資金は戻ってくる
- 資金ゼロでも抽選に参加できる
- IPO株の投資に知識は必要ない
それぞれの内容を詳しくご紹介していきますね。
メリット①:当選すると高確率で利益が出せる
新規上場を果たしているIPO株は毎年70~100ほどあります。
そのうち、約80~90%程度は上場後の「初値」が上場前の「公募価格」より値上がりしている状況です。
IPO株が証券市場に上場したときに、株式市場で初めて決まった株価のことを意味します。
つまり、IPOの抽選に当選して公募価格で購入できると、証券会社で取引開始のタイミングで売却すれば、80%ほどの確率で利益が出せるということですね。
仮に初値で売らなかった場合でも、将来性に期待できる上場企業なら「長期保有」で利益を増やせる可能性もあります。
IPO株に投資する多くの方は、勝率を考えた「初値売り」をする傾向にあります。
メリット②:落選しても資金は戻ってくる
個人投資家の場合は、ブックビルディング(需要申告)を行って、IPOの抽選に参加することになります。
IPOを行う企業が公募価格の仮条件を決めた上で、その範囲から投資家がいくら購入したいか、ということを調べるもの。
証券会社で「株価〇〇円で〇〇株を買います」というイメージで、個人投資家はIPOの抽選に参加します。
このブックビルディングに参加するには、抽選資金として10~40万円程度が必要になるIPO株が多いですね。
抽選資金はブックビルディングで拘束されることになりますが、抽選に落選してもすべての資金が戻ってきます。
また、抽選参加の手数料もかからないので、落選しても損をすることはありません。
メリット③:資金ゼロでも抽選に参加できる
証券会社でIPOのブックビルディングに参加するには、仮条件で決まった公募価格の範囲で抽選資金(前受金)を用意することになります。
IPO株の購入は「100株単位」になるので、
仮条件の公募価格=3,000円の場合
⇒3,000円×100株=抽選資金30万円
このように、ある程度まとまった資金がないとIPOの抽選に参加できません。
複数の証券会社でIPOの抽選に参加しようと思っても、抽選資金がネックになって申し込みできない…という場合もありますよね。
ですが、証券会社の中には「抽選資金不要」で参加できるところがあるので、当選した後に購入資金を用意できるというメリットがあります。
なお、「DMM 株」は2019年2月より、IPOの取り扱いをスタートしたばかりのネット証券になっています。
メリット④:IPO株の投資に知識は必要ない
IPOの抽選に当選したら、ブックビルディングによって選定された公募価格で購入することができます。
IPO株の上場初日は買い注文が殺到するので、公募価格より株価が上回る可能性が高く、初値売りだけで十分な利益が出せます。
なので、売買のテクニックやチャートの値動きなどを気にすることなく、取引を行うことができるメリットがありますね。
基本的には上場初日の当日中に成行注文でIPO株を売却するだけですから、株式投資の初心者であっても問題なく取引できます。
株式投資は初めてだから不安…と感じている方には、IPOへの投資は比較的始めやすいと言えますね。
IPO(新規公開株)のデメリット
IPO株には魅力的なメリットがありますが、デメリット・リスクもあるので理解しておきましょう。
- 当選確率が低く当たりにくい
- 公募割れのリスクがある
- 上場後は株価の変動が激しい
デメリットについても、それぞれ詳しく解説していきますね。
デメリット①:当選確率が低く当たりにくい
IPOは高確率で利益を出せるという魅力的なメリットがある以上、抽選に参加する投資家も非常に多いですね。
「当選したら必ず勝てる」というわけではありませんが、まずは抽選に当たらなければ話になりません。
毎回抽選に参加しているのに、年間で1~2回しか当たらなかった…ということも。
これが当たり前のレベルですから、そう簡単にIPOでの利益を掴めるわけでもないです。
ですが、実際に当選して利益を得ている方がいるのも事実。
IPOの抽選参加にはデメリットがないので、ここは諦めずに継続して申し込みを続けることが大切ですね。
デメリット②:公募割れのリスクがある
多くのIPO株は、公募価格よりも初値が上昇する傾向にありますが、中には公募価格よりも下落してしまうこともあります。
高確率で利益が得られる反面、公募割れするリスクも少なからずあるので、100%儲かるというわけではありません。
IPO株の全体の約20%ほどは損失になっています。
抽選に落選してもお金を失うことはありませんが、IPO株を一度購入すると株価によって損失を抱えるリスクは当然あります。
リターンが得られやすいというメリットだけに気を取られていると、お金を失う危険性が高いと言えますね…
こうしたリスクを把握した上で、IPO投資を始める必要があると理解しておきましょう。
デメリット③:上場後は株価の変動が激しい
IPO株は株式市場に上場すると、多くの投資家から注目を集めることになります。
特に上場したばかりの時期はIPO株の売買が活発になりやすいので、買い需要と売り需要が高まり株価が乱高下します。
個人投資家だけでなく機関投資家なども積極的に売買を行うため、価格変動も激しい動きをする傾向がありますね。
IPOに当選して公募価格で購入している人は安心ですが、上場直後に購入することを考えている方は相当なリスクを伴うことに…
100%株価が上昇するという保証はないので、売買のタイミングが悪いと高値掴みとなって、大きな損失を抱えてしまう可能性もあります。
なのでIPO投資に慣れていない初心者の方は、上場直後の売買は控えることをおすすめします。
IPO(新規公開株)の当選確率を高めるためには
IPO投資においては、当選しやすい人と当選しにくい人がいます。
これは単純に運が良い悪いということではなく、当選確率を高める方法・コツがあるからです!
実際にIPOの当選確率を高められる方法としては、
- できるだけ多くの証券外会社から申し込む
- 主幹事証券会社で優先的に応募する
- 資金に応じて抽選口数が増える証券会社に絞る
IPO株はすべての証券会社で取り扱いがあるわけではなく、各社によって抽選が行われないIPO銘柄もあります。
なので複数の証券会社から異なるIPO銘柄に応募することで、抽選回数を増やしつつ当選確率を高めることが可能です。
IPOの取り扱いがある証券会社は以下の通り。
また、主幹事証券会社からIPOへ応募することで、当選確率を大幅に高めることもできます。
IPOが販売される証券会社には、「主幹事」「副主幹事」「幹事」という役割に分担されています。
このうち、主幹事証券会社は売り出すことができるIPO株数の割合が優先される特徴があります。
- 主幹事:約85%
- 副主幹事:約5%
- 幹事:約3%
つまり、配分されるIPO株が圧倒的に多い主幹事証券会社で応募すると、当選確率が必然的に高くなるということですね。
主幹事になる証券会社は「野村證券」が最も多いですが、割合のほとんどを機関投資家などが占めるため、個人投資家への期待薄ですね…
また、一般的にIPOの抽選は「申し込み者単位」になりますが、「申し込み株数」に比例して抽選される証券会社もあります。
「SBI証券」と「楽天証券」では、100株単位で抽選が行われる仕組みなので、IPO株へ投資する資金が多いほど抽選回数も多くなります。
投資資金に余裕がない方は、こういったポイントを押さえて証券会社を絞ることも、IPO投資においては重要ですね。
抽選に当選した場合でも必ず購入する必要はない
IPOの抽選に当選することができたら、証券会社でIPO株を購入することができます。
ですが、初値が上昇することに期待できない銘柄だと感じたら、購入しないという選択肢も選べます。
先にお伝えしたようにIPO株は勝率の高い投資ですが、中には公募割れする銘柄もあるので、投資するかどうかの判断にも注意が必要ですね。
投資家から人気の高いIPO株は期待値も高いので、購入することで高確率なリターンに期待できます。
購入するかの判断はもちろん必要になりますが、まずは抽選に当選することが大前提。
だからこそ、色々なIPO株で抽選しておくことがIPO投資には欠かせないと言えますね。
公募割れしないIPO(新規公開株)を選ぶためには
IPOの難関である抽選に見事当選したら、なにより嬉しいですよね。
そこで、せっかく当選したのに公募割れしてしまった…という最悪な事態は避けたいところ。
ここでは、IPO投資で失敗しないために最低限のポイントもご紹介しておきます。
- 新規公開株数が少ないIPO銘柄を選ぶ
- 公募価格が仮条件の上限であるIPO銘柄を選ぶ
それぞれ見ていきましょう。
新規公開株数が少ないIPO銘柄を選ぶ
新規公開株数が多いとどうなるかというと、IPOの抽選に当選した投資家の初値売りの圧力が大きくなりやすい面があります。
新規で発行される株数が多いということは、それだけ公募価格で購入している投資家の割合が増えることを意味します。
そのため、売り注文が多くなることで株価が下落し、公募割れを引き起こす要因の1つになることが予想できますね。
もちろん必ずそうなるというわけではないですが、公開株数が「100万株」を超えてくると、公募割れリスクをしっかり考慮する必要があります。
特に1,000万株を超えるようなIPO銘柄は、初値売りには向かないのでおすすめしません。
IPO銘柄に投資する際は、「目論見書」で新規発行される株式数を必ずチェックしておきましょう。
公募価格が仮条件の上限であるIPO銘柄を選ぶ
IPOは設定された仮条件の値幅で、個人投資家がブックビルディングを行って抽選に参加します。
このブックビルディングの内容を考慮した上で公募価格が決定されますが、人気のあるIPO銘柄であれば仮条件の上限額が設定されます。
例えば、仮条件で「2,600円~3,300円」という値幅だった場合、人気銘柄なら上限の3,300円が公募価格になるイメージですね。
ですが、人気のないIPO銘柄の場合は、公募価格が仮条件の上限値に達しないことが多く、初値も高騰せずに公募割れする可能性が高い特徴があります。
個人投資家が期待しているIPO株なら、ブックビルディングを行う申し込み者も多いですから、それだけ価格の競争率も激化します。
IPOの抽選では、仮条件の値幅から入力した価格帯も抽選対象になっています。
なので、公募価格よりも低い価格で申し込みしていた場合は、当選する可能性はほとんどないと言えますね…
こうした理由もあって、仮条件の上限値で申し込みを行う投資家が多く、人気の高いIPO銘柄は「仮条件の上限値=公募価格」となるわけです。
なお、抽選資金が必要な証券会社では、抽選日に投資資金を証券口座へ用意しておく必要があるので、余裕を持って入金しておきましょう。
IPO(新規公開株)におすすめの証券会社
IPOを始めてみたいけど、どこの証券会社がおすすめなのか気になっている方も多いかと思います。
なのでここからは、IPO投資におすすめな証券会社を4社ご紹介しておきますね。
複数の証券口座を持っておくと抽選の参加率を高めることもできるので、口座だけでも開設しておくと何かと便利です。
おすすめ①:SMBC日興証券
SMBC日興証券のIPOの特徴 | |
開設口座数 | 330万以上 |
IPO抽選方法 | 公平抽選(配分10%) 店頭配布(配分90%)※1 |
IPO抽選単位 | 1口座1票 |
抽選資金の有無 | 必要 |
NISA対応 | 〇 |
※1:2019年2月下旬より、店頭配布の「配分85%」でIPO優遇としてステージによる「抽選5%」へ変更される予定です。
「SMBC日興証券」は、店舗も構える最大手の総合証券会社です。
ここはIPO株の「主幹事」を引き受けることが非常に多く、取り扱い実績も申し分ない証券会社ですね。
オンライントレードでは配分10%の公平抽選になるので、抽選に参加する株数に関係なく当選する確率は同じになっています。
また、2019年2月下旬から公平抽選の落選者に対して、ステージによる5%の抽選権が割り振られるようです。
SMBC日興証券の新規口座開設から3ヶ月以内は1票が貰えたり、預かり資産残高に応じて最大25票が貰える特典も!
IPO投資を始めるなら、主幹事となることが多いSMBC日興証券は欠かせませんね。
▼主幹事の実績多数あり▼
おすすめ②:SBI証券
SBI証券のIPOの特徴 | |
開設口座数 | 440万以上 |
IPO抽選方法 | 口数比例抽選(配分70%) IPOチャレンジP(配分30%)※1 |
IPO抽選単位 | 1口(100株)1票 |
抽選資金の有無 | 必要 |
NISA対応 | 〇 |
※1:口数比例の抽選に落選した場合、次回以降の抽選で利用できる「IPOチャレンジポイント」が自動的に1P付与されます。
「SBI証券」はネット証券の中でも口座開設数No.1を誇り、IPOの取り扱い実績は業界トップクラス。
ここは口数比例抽選となるので、他の証券会社とは違って資金力があれば当選確率を高めることが可能。
1口(100株)だけで申し込むよりも、10口(1,000株)で申し込んだ方が当選しやすいということですね。
また、SBI証券では口数比例抽選に落選したとしても、「IPOチャレンジポイント」という仕組みで自動的に1Pが貰えます。
このIPOチャレンジポイントは抽選時に使用することができ、落選者のうち使用したポイント数が多い順に当選するシステムになっていますね。
ポイント数が少ないうちは当選は厳しいですが、200~300Pほど貯まってくると当選できる可能性が出てきます。
落選するたびに必ずIPOチャレンジポイントが貰えるので、いつかは当選できるチャンスが来るというのは嬉しいですよね。
SBI証券は数少ない口数比例抽選ですし、ポイントシステムのメリットも考えると、開設しておいて損はありません。
▼IPOチャレンジポイントが魅力▼
おすすめ③:マネックス証券
マネックス証券のIPOの特徴 | |
開設口座数 | 180万以上 |
IPO抽選方法 | 公平抽選(配分100%) |
IPO抽選単位 | 1口座1票 |
抽選資金の有無 | 必要 |
NISA対応 | 〇 |
「マネックス証券」は、主幹事としての実績はあまりありませんが、IPOの幹事数としての実績はかなり豊富にあります。
一般的な証券会社の公平抽選では、配分が10%ほどで当選確率がやや厳しい面がありますが、マネックス証券なら配分100%で抽選されます。
つまり、IPOの公開株数の100%が1人1票で平等に抽選されるため、投資資金や取引実績などの影響を受けず誰にでもチャンスがあるのが特徴。
資金余力の少ない投資家でも、十分当選できる可能性と実績を備えているIPO投資の有力なネット証券ですね。
マネックス証券は、主幹事証券会社との組み合わせで利用されることも多いです。
IPOの取り扱いはトップレベルですし、資金面に不安がある方でも当選に期待できるのでおすすめです。
▼配分100%の完全公平抽選▼
DMM 株ならIPO(新規公開株)の当選確率に期待できる!?
「DMM 株」は、2018年から株式投資に参入したばかりのネット証券なので、既存の証券会社と比べるとまだまだ新参です。
これに加えて、IPOの取り扱いを開始したのは2019年2月。
つまり、IPOを目的として口座開設を行っている人は現状少ないことが予想できますね。
IPOは申し込み者が多くなるほど当選確率も低くなるので、他の証券会社よりも参加者が比較的少ない「DMM 株」はチャンスとも言えます。
時期に口座開設者が増えてくるとメリットが薄れますが、今のうちから参加しておくと当選できるかもしれませんね。
ただ、IPOの取り扱いは「委託販売」がメインとなっていて、今の段階では主幹事となる可能性は低い面もあります。
委託販売では配分される数量が限られてくるため、IPO参加者が少なくても配分率が低ければ、当選確率が飛躍的に高くなることはありません。
なので、過度の期待は禁物ですね…
とはいえ、DMM 株はIPO申し込み時の「購入資金ゼロ」、誰でも平等に抽選される「完全平等抽選」なので資金量に左右されません。
IPOに当選できるかは運次第なところもありますが、参加のしやすさで言えば「DMM 株」は非常におすすめです。
ちなみに「DMM 株」では、毎月口座開設を行った方の中から、抽選で10名に2,000円キャッシュバックを行っています。
この特典は予告なく変更・終了されてしまう可能性があるので、できれば早めに口座開設は済ませておいた方がいいかもしれません。
IPOの取り扱い銘柄は多くありませんが利用しやすい証券会社なので、IPOに興味がある方は開設を検討するのがいいですね。
▼資金不要/完全平等抽選▼
IPO(新規公開株)のメリット・デメリットまとめ
- 当選すると高確率で利益が出せる
- 落選しても資金は戻ってくる
- 資金ゼロでも抽選に参加できる
- IPO株の投資に知識は必要ない
- 当選確率が低く当たりにくい
- 公募割れのリスクがある
- 上場後は株価の変動が激しい
IPOに当選できれば、初値売りで高確率なリターンが得られるメリットは大きな魅力。
ですが、すべてのIPO株が必ず利益を出せるということではありません。
人気のないIPOに当選したとしても、売り圧力が強くなる場合は公募割れすることも珍しくないですからね。
もちろん、IPOへの抽選にはどんどん参加した方がメリットはありますが、当選した後に購入するかどうかはよく考えて判断するべきでしょう。
公募割れしにくいIPO銘柄だった場合は、初値売りするだけで大きな利益が掴めるチャンス。
抽選に落選してもデメリットはありませんし、IPOへの抽選には積極的にチャレンジされてみて下さいね!
▼こちらも合わせてどうぞ▼