株主優待は高利回りが期待できることから、多くの個人投資家から人気を集めています。
株主優待と言えば、「優待名人こと、桐谷さん」を知っている方は多いかもしれませんね。
食事券や商品券・割引券など、株を保有することで配当金とは異なるメリットがあり、優待生活がしたい!と考えている方もいます。
今までに株式投資をした経験のない初心者の方は、株主優待制度を利用する前に特徴を理解しておく必要があります。
そこで今回は、株主優待のメリット・デメリットを初心者向けに解説、もらい方や注意点なども合わせてご紹介しますね。
【株主優待の要点まとめ】
- 株主になれば配当金+優待品がもらえる
- 3月末・9月末に実施されることが多い
- 商品発送は権利確定から3ヶ月先が目安
- つなぎ売り・クロス取引でタダ取りも可能
- 優待内容や保有株数の条件は企業ごとで異なる
そもそも株主優待とは?どんな制度なのか
株主優待とは、個人・法人問わず企業(株式会社)が株主に対して、自社の商品やサービスなどを提供する制度のことです。
株式会社の株に投資をして、保有している人は株主になりますね。
株主優待の内容は各企業で異なり、食事券・商品券やお米・カタログギフトなど、様々なモノやサービスが用意されています。
株式投資をする上では、企業が得た利益の一部が得られる「配当金」目当てに投資している方が一般的かもしれません。
ですが、株主優待制度を上手く活用することで「配当金+商品券」のように、より多くの特典が得られる特徴があります。
投資家にとっては、なんとも嬉しい制度ですよね。
株主優待は月別に実施されている企業数が違い、特に3月は「年に1度の優待祭り」として知られています。
また、株主優待は企業側にとってもメリットがあり、自社商品やサービスを直に知ってもらえるきっかけになったり、自社株を長期的に保有してもらう要因にもなります。
今まで投資に興味がなかった方でも、株主優待を受ける目的で始める方も少なくありません。
優待内容も様々あるので、何がもらえるのかを探すだけでも楽しめますね。
株主優待のメリット
ここからは、株主優待のメリットについてご紹介していきます。
- 様々な優待品が受け取れる
- 優待利回りに期待できる
- 株主優待の「タダ取り」も可能
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
メリット①:様々な優待品が受け取れる
これは先にご紹介しましたが株主優待の最大のメリットは、株を保有していることで優待品がもらえることですね。
例えば、「伊藤ハム」なら5,000円相当の自社商品だったり、「ヤマダ電機」なら2,000円分の買物優待券など。
「ANA」なら搭乗50%割引・各施設利用割引券がもらえたりします。
こうした優待品を受け取ることで、日常生活で利用している施設やお買い物がお得になります。
必要な食品や商品をもらうことで節約にもなりますし、株主優待目的で株を保有する理由も納得できますね。
メリット②:優待利回りに期待できる
優待利回りとは、株の購入金額に対して株主優待の内容でどれくらいお得になるか、を示すものです。
- 購入金額10万円/優待5,000円分:優待利回り5%
- 購入金額10万円/優待2,000円分:優待利回り2%
これは株価によって変化することでもありますが、単純な計算で考えるとどちらが高利回りかは一目瞭然ですね。
企業の株価が安いときに上手く購入できれば、優待利回りはより高くなる特徴があります。
ただ、利回りだけを意識してしまうと、企業の業績悪化による損失リスクの方が大きくなるので、株価が安いからと言って安易に手を出すのは注意です。
継続的な企業の成長が見込める場合は、株の長期保有によって優待利回りに加えて「配当利回り」にも期待できます。
長期保有することで優待利回りが高く優遇される企業もあるので、銘柄を選ぶときにはチェックしておくのがいいですね。
メリット③:株主優待の「タダ取り」も可能
欲しい株主優待が見つかったときに、株を買ったあとに株価が下がって損をするか心配…と感じている方は多いかもしれません。
そんな方向けに、株価変動リスクを抑えて株主優待を獲得する「つなぎ売り・クロス取引」があります。
現物取引で「買い注文」を行い、約定後に信用取引で「新規売り注文」を行う方法のことです。
それぞれ「同じ株数・枚数」「同じ株価」で保有することで、株価が値上がり・値下がりしても、利益と損失を相殺することができます。
取引後に株主優待の権利を獲得したら、保有している現物株を返却する「現渡(げんわたし)」を行うことで、手数料だけのコストで済むテクニックです。
この方法なら株価が下がってしまった場合でも、損をしないので安心できますね。
ただ、この「つなぎ売り」が大量に行われると株不足による手数料「逆日歩」が発生し、その額が優待利回り以上になることも…
投資初心者の方は特に注意が必要ですが、「一般信用取引」であれば逆日歩が発生しないメリットがあるので、取引のときはチェックしておきましょう。
ちなみに、一般信用取引の取り扱いがある主な証券会社は以下になります。
株主優待のデメリット
株主優待のメリットを先にご紹介したところで、ここからはデメリットについて解説していきますね。
- 株価の変動リスクがある
- 最低でも10万円程度の資金が必要
- 株主優待の受取は3ヶ月ほど先になる
- すべての企業が実施しているわけではない
それぞれの内容を見ていきましょう。
デメリット①:株価の変動リスクがある
株取引を行う上では、必ず株価変動リスクが伴うことになります。
株主優待目的で投資を行っている多くの個人投資家は、優待権利を得た段階で保有している現物株を売却しようと考えます。
そのため、株が購入した価格よりも大きく値を下げる可能性があります。
ただ、仮に株価が下がっても優待利回りの方が上回るなら、実質的な損失を抱えることはありません。
または売却せずにそのまま現物株を継続的に保有し続けることで、一時的な下落を回避することも可能です。
長期保有による優待内容の優遇を受けられる企業もありますからね。
とはいえ、優待権利を得たらすぐに売却したい…けど損はしたくない…という方は、「つなぎ売り・クロス取引」を活用するのが望ましいですね。
一般信用取引なら逆日歩の心配もありませんし、株価変動リスクのデメリットは最小限にできます。
デメリット②:最低でも10万円程度の資金が必要
株式投資では基本的に株数によって取引されますが、「100株=1単元」が最低購入株数になる場合が多いです。
投資金額は企業の株価によって変わってきますが、「1株=1,000円」なら最低投資額は10万円ということになりますね。
例えば、吉野家の株主優待の獲得条件を見てみると、
- 100株~999株:300円サービス券×10枚
- 1,000株~1,999株:300円サービス券×20枚
- 2,000株以上:300円サービス券×40枚
※内容は変更される可能性があります。
吉野家の株価は2019年3月15日時点で「1株=1,782円」なので、100株購入するとなると約18万円の資金が必要…
株価の安いヤマダ電機であれば「1株=572円」ですから、約6万円で100株は購入できます。
ヤマダ電機は100株~499株で、500円割引券2枚(3月末)・4枚(9月末)の優待内容になっていますね。
ですが、100株も購入するための資金はない…という方も多いかと思います。
そんな方でも株式投資ができる「単元未満株取引」があり、1株単位で売買することが可能で、一部の銘柄には株主優待もあります。
単元未満株取引ができる主な証券会社は以下の3社なので、少額からでも株主優待を受けたい方は検討してみるのがいいですね。
デメリット③:株主優待の受取は3ヶ月ほど先になる
株主優待はすぐに受け取れるものではなく、株主の優待権利が確定してから3ヶ月ほどで商品が発送されてきます。
優待の「権利確定日」は企業の決算時期によって違いますが、多くの場合は「3月末」「9月末」の半期になっています。
なので例えば、3月末で優待権利を得たなら商品が届くのは、早くても6月以降になるということです。
株を買ったらもらえると考えていた方は、この事実を知ってガッカリされたかもしれませんね…
3ヶ月先となると忘れた頃に届く感じですし、そこまで待てない方には株主優待は向かないかも。
ただ、優待権利が確定していれば商品は届くので、気長に待つほかないですね。
デメリット④:すべての企業が実施しているわけではない
株主優待を行っている上場企業は1,300社以上。
これでも多いと個人的には感じますが、それでも上場企業の3分の1程度の割合です。
全体で見れば、株主優待が受けられない企業もまだまだ多いですね。
個人投資家が積極的に自社株主となってもらうためには、株主優待の実施は必要不可欠とも言えます。
今は実施していない企業でも、今後は優待が受けられる可能性もありますし、さらに取り扱い銘柄も増えることが予想されますね。
株主優待初心者が注意するべき点
ここまで株主優待のメリット・デメリットを詳しく解説してきましたが、今後利用していく上での注意点もまとめておきます。
- 株主優待が変更・終了する可能性がある
- 保有株数によって優待内容が異なる
- 優待をもらっても使い切れないケースもある
- 信用取引で株を購入すると優待が受けられない
それぞれ見ていきましょう。
注意点①:株主優待が変更・終了する可能性がある
株主優待制度では、企業側が内容変更をいつでも行うことができます。
今までは優待利回りに期待できる株だったけど、突然終了してしまった…という場合も実際にあり得る話。
仮に優待利回りの人気に支えられている株があったとすると、そのメリットがなくなれば投資家は当然売却することを考えますよね。
その流れが実際に起こると、おそらく株価は暴落して多くの投資家が損失を抱えることにもなりかねません。
人気のある主要企業の株主優待なら早々終了することは考えにくいですが、こういったリスクもあることは理解しておきましょう。
注意点②:保有株数によって優待内容が異なる
これは先ほどの吉野家の優待内容を例にすると、
- 100株~999株:300円サービス券×10枚
- 1,000株~1,999株:300円サービス券×20枚
- 2,000株以上:300円サービス券×40枚
※内容は変更される可能性があります。
この場合は、100株を持っている人でも500株を持っている人でも、受けられる株主優待は「300円サービス券×10枚」です。
なので、1,000株に到達するまでは100株の人と同じ優遇ですから、少し損をしている気分になりますね。
もし200株購入できる資金があるなら、2社に分けて100株ずつ購入した方がもらえる株主優待は多くなります。
1社に絞ってワンランク上の優待内容を目指すのもいいですが、複数社に分散させることも効果的な投資法です。
株を保有していく場合は「リスク分散」という観点からも、1社に集中しないよう選択肢を広げておくことは大切ですね。
保有株数や優待内容は各企業で異なるので、事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。
注意点③:優待をもらっても使い切れないケースもある
それなりに投資資金があれば、色々な株主優待を受けることは可能です。
ですが、実際に利用しないお店の割引券や商品券をもらっても、ほとんど意味がありませんよね…
家族や友人などにプレゼントする目的があるなら話は別ですが、なんでもかんでも考えなしに手を出すのは良くありません。
また、株の保有数が多くなることで優待内容が優遇されることは嬉しいんですが、有効期限が短いと使い切れないこともよくあります。
特に半年未満しかないものだと、利用するにも結構大変だったりしますからね。
株主優待でもらったからには無駄なく使えるよう、計画的に行動するための準備も大切でしょう。
注意点④:信用取引で株を購入すると優待が受けられない
株式投資においては「現物取引」と「信用取引」があり、それぞれに違いがあります。
現物取引とは、自己資産を利用して投資を行うもので、資産を超える売買は行うことができない方法です。
信用取引とは、お金や株を証券会社などから融資を受けて投資ができ、レバレッジをかけることで自己資産以上の売買も可能な方法です。
株主優待は「株式所有者」が自分であることが必要なため、自分名義にはならない信用取引での買い注文は対象外になります。
なお、メリットの項目でご紹介した「つなぎ売り・クロス取引」は、「現物買い注文」+「信用売り注文」なので、優待を受けることができます。
株初心者の方は少し困惑するところだと思いますが、優待の受けるためにも注意しておいて下さいね。
株主優待のもらい方
ここでは実際に、株主優待のもらい方についてご紹介していきます。
- 権利付最終日に現物株を保有しておく
- 企業指定の株数を保有しておく
それぞれの条件を満たしておくことが必要なので、順にわかりやすく解説しますね。
条件①:権利付最終日に現物株を保有しておく
まずは、欲しい株主優待の銘柄(現物株)を「権利付最終日」時点で保有していることが必須になります。
権利付最終日は確定日の3営業日前になり、多くの企業では「3月末」「9月末」の半期が決算月ですが、確定日が末日以外の銘柄もあります。
上記カレンダーを例にすると、26日までに購入していれば優待権利を得ることができますね。
株主優待目当ての投資家は、権利付最終日を狙って買い注文を行う傾向があるので、直前に買うと株価上昇に伴う「高値掴み」になる可能性も。
それを避けるため、優待株は権利付最終日ではなく、少し余裕を持って購入しておくのが望ましいです。
権利付最終日の翌日(権利落ち日)以降であれば、いつ売却しても株主優待はもらえます。
つまり、極端に言うと26日に現物株を買って27日に売れば、1日の保有でも優待権利は獲得できるということ。
ただ、投資家の多くは同様のことを考えているので、特に権利落ち日は株価が下落傾向にありますね。
この株価変動リスクを抑えるためには、つなぎ売り・クロス取引の活用がおすすめです。
一般信用取引ができる証券会社なら逆日歩の心配もなく、「手数料 < 優待利回り」になれば利益になります。
なお、一般信用取引で売り注文が可能な対象銘柄は日々変更されるので、最新の銘柄情報は証券会社でチェックしましょう。
条件②:企業指定の株数を保有しておく
権利付最終日になった時点で優待株を保有していても、企業が条件としている指定株数を持っていないと株主優待は受けられません。
多くの優待銘柄では100株以上が条件になっていますが、それ以上の保有が必要な場合もあります。
ここも事前にしっかり確認しておくべき点ですね。
また、先にお伝えしているように株数によって優待内容も異なります。
最低限必要な株数を把握しておくことで、上手く分散させることも可能ですから、複数の株主優待を検討している方も要チェックですね。
株主優待生活を始めるにはまず証券会社の口座開設が前提
株主優待はそもそも企業の株を持っていないと始まりません。
優待株を購入するためには、証券会社の口座開設が必要不可欠ですね。
証券会社には大きく分けて「対面型」の総合証券と、「オンライントレード」中心のネット証券があります。
現在では店舗に行かなくても、オンライン上で無料口座開設が手軽にできるネット証券もたくさんあります。
ネット証券には店舗型とは違った多くのメリットがありますが、詳しくは以下の記事を参考にして頂ければと思います。
私自身もネット証券を活用していますが、株主優待を目的として証券会社を選ぶなら、以下の点は抑えておくのがいいですね。
- 株式の売買手数料が安いこと
- 単元未満株の売買ができること(少額投資の場合)
- 一般信用売りの取り扱いがあること(リスクを軽減したい場合)
株主優待の権利を得るために「買い注文」「売り注文」を行うと、どこの証券会社でも手数料がかかるので、できれば安いに越したことはありません。
また、100株単位で購入するのが難しい方は、1株からの少額投資で一部の株主優待も受けられる「単元未満株」も選択肢になります。
株価変動リスクを最小限にしたい場合は、一般信用取引を使った「つなぎ売り・クロス取引」もできる証券会社がいいですね。
株主優待初心者におすすめな証券会社はどこ?
以上の点を考慮すると、個人的には以下のネット証券のいずれかを開設しておくのがおすすめです。
以上の4社は売買手数料が最安というわけではありませんが、逆日歩が発生しない「一般信用取引」ができるので、リスクを避けたい方に向いています。
例え、売買手数料が安くても一般信用取引に対応していないと、空売りの増加で逆日歩による高額手数料が発生する恐れがありますからね。
優待利回りより手数料が高くて結局損をした…という事態は絶対に避けたいところ。
また、「カブドットコム証券」「SBI証券」では、単元未満株で1株~の少額投資も可能です。
単元未満株の中には株主優待が受けられるものもあるので、少額でも優待生活をしてみたい!という方にはおすすめです。
特に「カブドットコム証券」は主要ネット証券の中で、一般信用取引の対象銘柄も最高水準なので、優待目的なら開設は必須と言えます。
対象銘柄の多さで比較するなら「松井証券」も負けてないですね。
「GMOクリック証券」ではGMOグループ優待の利用で、手数料キャッシュバックによる実質株式取引を無料にすることもできますよ。
株主優待を受けたい方は、上記4社を利用することを検討されてみて下さいね。
別途で信用取引口座の開設も・・・
証券口座を開設すれば、優待銘柄の株を購入することはできます。
ただ、一般信用取引で「つなぎ売り・クロス取引」をする場合、実は証券口座とは別に「信用取引口座」も作る必要があるんです…
信用取引は個人資産以上の売買ができるようになるため、投資初心者が何も知らずに手を出すと、大きな損失を抱えてしまう可能性が高いです。
そういった理由からか、証券会社では基本の総合口座とは別に信用取引口座が用意され、投資経験などの回答・審査を行った上で開設できる仕組みですね。
信用取引口座の開設は、ネット証券口座の開設後にサイト内なら申し込みを行うことが可能です。
ここでは株価変動リスクを抑えつつ、株主優待を獲得するために一般信用取引を利用しますが、レバレッジをかけてハイリスクな投資も行えるようになります。
ただ、投資初心者が普通に信用取引で売買をするのはおすすめできないので、株主優待を受けるためだけに活用するのがいいですね。
株主優待のメリット・デメリット・もらい方のまとめ
- 株主になれば配当金+優待品がもらえる
- 3月末・9月末に実施されることが多い
- 商品発送は権利確定から3ヶ月先が目安
- つなぎ売り・クロス取引でタダ取りも可能
- 優待内容や保有株数の条件は企業ごとで異なる
株主優待はここでご紹介してきたように、様々なメリット・デメリットがありますが、お得感があって投資家からも非常に人気です。
優待株を買って保有しているだけで、割引券や商品券などが送られてくるわけですから、優待生活に興味を持った方は多いかもしれませんね。
企業ごとに多様な株主優待が用意されているので、それを探して回るだけでも楽しくなります。
ただ、株式投資を行うことになるので、株価が上がったり下がったりすることで優待利回り以上の損失が出る可能性も理解していないといけません。
株価変動リスクが心配な方は、一般信用取引を活用して手数料コストだけで優待が受けられる方法も検討しましょう。
株主優待を上手く利用することができれば日々の生活面の助けにもなりますし、この機会に始めてみてはいかがでしょうか!
▼こちらも合わせてどうぞ▼